【ドラマ】ファーゴ シーズン4

普通の市民がちょっとしたきっかけからドツボにハマるのが、このドラマの肝かと思っていたが、どうやらシーズン4はそういう作りではなかったようだ。悪事を繰り返す看護師のオラエッタ・メイフラワーや知的な娘エセルリダ、ゼルメアとスワニーの強盗コンビといったコミカルな女性キャラクターも存在するものの、基本的には男社会としてのギャングとマフィアの盛衰記だった。

ユダヤ系、イタリア系、アイルランド系、そして黒人。さらにはモルモン教徒がユダヤ十二支族の流れで説明される部分もあり、これはまさに米国の移民の歴史をたどっているということなのだろう。ネイティブ・アメリカンが暮らす大陸に次々とやってきた他民族が、それぞれに自分たちの主権を主張する様子は、見方によっては非常に滑稽だ。それでも、それこそがこの国の歴史であることをシニカルに見せているに過ぎない。

主演という位置づけにいるはずのクリス・ロックは、さほど存在感がなく、やたら多い登場人物が錯綜する群像劇として描かれる。それだけに、それぞれの個性が深く描写されず、なかなか物語に入り込めなかったことは残念だ。製作陣の思いが強すぎた結果なのかもしれず、このシーズンだけ全11話だったことも同じことが影響しているような気がしている。

それにしても、シーズン2ではその存在に違和感しかなかったマイク・ミリガンの過去が明かされ、納得感が一気に増すような構成は絶妙だ。サッチェルの風貌や雰囲気は、まさにマイクそのものだった。