【ドラマ】DEP:重大事故捜査班

航空機、高速鉄道、大型船舶の事故に絡むカナダの犯罪捜査ドラマで、舞台はカナダから英国、米国に及ぶスケールの大きい作品。原題は「Departure」なので、空港の表示にある「出発便」ということだが、「DEP」という意味不明な省略をした上に「重大事故捜査班」という説明的なタイトルをつけたあたりは、センスのなさと言うしかない。

主体となる架空の機関TSIBは「運輸安全捜査局」とでも呼ぶべき存在だが、事件を捜査する主任担当者のケンドラはインド系英国人。MI5やFBIと対立しながら、事故の背後にうごめく巨悪と闘うところは、6話ずつ割り振られた3つのシーズンすべてに共通する部分だ。逆に言うと、物語の仕掛けと舞台は異なるものの展開は似通ってしまっていて、徐々に視聴者は誰が犯人なのか想像がつくようになるところには物足りなさがある。

しかしながら、シーズン1はロンドン、シーズン2は米国ミシガン州、シーズン3はカナダのニューファンドランドとそれぞれの土地柄をうまく生かした展開が用意されていて、国民性や捜査機関の特性なども浮き彫りにしているところには見応えがある。国を跨ぐだけに「捜査権がどこまで及ぶのか」はわかりにくいが、あまり厳密な作り方をしても面白くなくなってしまうだけなので、深追いする必要はないだろう。

6話の中でどんでん返しもあり、捜査が二転三転する中、主演の「グッドワイフ」でカリンダを演じたアーチー・パンジャビが落ち着き払った彼女らしい演技で締めてくれる。「ナイブズアウト」にも出演していたクリストファー・プラマーのしぶとい存在感も必見だ。