【ドラマ】ボッシュ:受け継がれるもの シーズン2

いきなりボッシュの娘マディが拉致されるという展開で、これがシーズン2の本流となるのかと思いきや、複数あるプロットのひとつでしかないという部分が肩透かしでもあり、このシーズンの位置づけをわかりにくくしている。狙いとしては「レガシー」の部分を描きたかったのだろうし、父から娘にDNAとして受け継がれた気質が随所に現れる部分こそにメッセージがあったのだろう。ただ、ドラマである以上は舞台設定が重要なのに、視聴者の目線が定まりにくい流れにしてしまったのは残念だ。

また、「BOSCH/ボッシュ」本編やシーズン1から続く遺恨については、すでに僕の記憶からはかなりの部分が消えてしまっているので、ここでもったいつけてリンクされても、「あれ、なんだったっけ?」という反応しかできない部分も少なくなかった。これだけサブスク全盛で、情報も作品も溢れている状況においては、作り手側が思うほどには視聴者は覚えていないものなのだ。

ただ、見応えという意味では十二分にあり、特にハニー・チャンドラー役のミミ・ロジャースの存在感は素晴らしい。ゲスト出演するジェリーはもちろん、"デカ箱"ムーアと"ビア樽"ジョンソンの名コンビも、コミカルな要素を加えるとともに懐かしい同窓会的な雰囲気も醸し出してくれる。

そして、最終話にはアーヴィング前市長役のランス・レディックが登場する。僕の中では「FRINGE/フリンジ」のブロイルズ捜査官という印象が強い彼は今年の3月に亡くなっており、その追悼の意味も籠められていたようだ。次のシーズンへつながるチャンドラーの決意を後押しする場面だったが、まさに彼のラストにふさわしい起用の仕方になっていたように思う。