【アジアカップ】日本―ベトナム

評価の難しい試合になった印象があるが、フィリップ・トルシエの狙いとしては間違いなくカウンターだったはず。ベトナムの善戦は仕掛けるタイミングを計って動き出すということを繰り返していたが、その形はしっかりできていた。かつて日本代表を率いた際に、フラットスリーを採用してシステムを機能させてトルシエだけに、ベトナム代表としての戦い方は整備できているということだ。

一方の日本代表だが、カウンター対策はできていたとは思うので、セットプレーでの2失点は想定外でもあり、今後に向けて大きな課題にもなった。GK鈴木彩艶のポジショニングも気になるが、ベトナムの2点目ではキャッチできなかったのかという疑問も残る。あのシチュエーションであの方向に弾いてしまうということが、リスク管理意識の不足を示しているように見えてしまうのだ。そもそも、このFKが菅原のイエローを起点としており、これは相手のカウンターに対して後手に回ったからという事実もある。

攻撃面では、南野が力任せに振り抜かず、狙い澄ましたコントロールシュートを決めたことは大いに評価できる。中村敬斗の振り向きざまのシュートも高いスキルの賜物だったが、どうすればゴールが生まれるかを考えての選択であって、自分がヒーローになりたいという思いだけでないところに日本サッカーのレベル感が表れているように感じた。