【ドラマ】ファーゴ シーズン2

実際に起きた事件に基づいているという作品のコンセプト通り、シーズン2もあり得ない展開ながら、それがかえって現実味を帯びてくるところが絶妙だ。このシーズンでは、キルスティン・ダンスト演じるペギーの判断ミスがとてつもない事件を引き起こすのだが、当のペギーは悪びれることもなく自己変革のセミナーに申し込む。さすがにこんな事件にきっかけにこそならないとしても、米国社会ではありがちな話だからこそ、シュールさを感じてしまうのだ。

謎の未確認飛行物体が登場するのは、1979年を舞台とするだけに「未知との遭遇」へのオマージュだと思われるが、こういう仕掛けには何となく製作のコーエン兄弟の色を感じてしまう。

また、舞台がミネソタノースダコタサウスダコタと中西部一帯に広がり、FBIや州警察、保安官が絡む捜査になっていることは、日本人にはなかなか理解しづらい部分だろう。こんな複雑な警察機構にしていることと司法取引の存在が、米国の犯罪を助長しているように思えてならない。

俳優陣では、個人的に「なんちゃってマット・デイモン」と呼んでいるジェシー・プレモンスがペギーに翻弄される演技が、ハマっていて見応えがある。そのペギーを演じるキルスティン・ダンストも、徐々に自分のキャラの軸が定まってゆく過程を自分で認識している演技が見事だ。「ロー&オーダー」でコスグローヴ刑事を演じるジェフリー・ドノヴァンと「リンカーン刑事」でシスコ役のアンガス・サンプソンも、持ち味を生かして好演している。キーラン・カルキンには、もう少し見せ場を与えてあげたかったところだが…