【フィギュアスケート】グランプリファイナル 男女シングルFS

北京国家体育館の氷の状態は、昨日のアイスダンスFDと女子シングルSPを見る限り、滑らないように見えた。エッジワークに優れるはずのアイスダンスの選手たちもスケーティングにかなり苦労しており、ステップが乱れる場面も複数見られた。それでも上位の選手は、しっかり演技を終えていたから、そこがメダル争いに絡む必要条件でもあるのだろう。

女子シングルFSは住吉りをんがジャンプのミスで崩れる一方、吉田陽菜は最初の3Aで波に乗り、順位を上げて表彰台に立った。そして坂本花織は苦手なフリップのミスはあったものの、それ以外は完璧な演技で優勝を飾る。キス&クライでの表情は、もう少し点を出したかった後悔とも、何とかトップの座を守った安堵とも受け取れたが、いずれにしても圧巻の存在感を見せつけてくれた。

そして迎えた男子シングルFSでは、アダム・シャオ・イム・ファがSPの失敗を乗り越えて素晴らしい演技を見せる。体調不良で練習すらできなかった三浦佳央は、明らかに苦しそうな表情ながら挑戦的なプログラムをこなし、終盤はよれよれになりながらも最後まで演じ切ってくれたが、これは賞賛に値する。鍵山優真は最初の4Sのミスが響いて得点が伸びず、宇野昌磨も3Aからのコンビネーションが抜けたが、最後にしっかりリカバリーしてくれた。その影響で演技時間が規定を超過し、1点のディダクションがついてしまったのは致し方ないだろう。

今季の世界選手権はモントリオール。その前に、クリスマス決戦の全日本選手権が待っている。厳しい戦いになりそうだが、まずはコンディションを整えてベストな状態で臨んでもらいたいものだ。