【Netflix】ペプシよ、戦闘機はどこに?

ペプシのプロモーションキャンペーンを巡る訴訟に関するNetflixのドキュメンタリーで、シアトル在住のジョン・レオナードがペプシコに7百万ポイントで戦闘機ハリアーを要求した事件を扱っている。これはテレビCMで「ハリアー 7,000,000pts」という表示が出ることに基づいたものだが、キャンペーンのカタログや懸賞請求用紙にハリアーは記載されていなかった。また、ポイントは買うことができるので、ジョンは出資者を見つけて小切手を送りつけることでハリアーを要求したという経緯がある。

率直に言って、あまりに無知で純粋過ぎるジョンも好きではないが、もちろん消費者を見下した態度を見せるペプシやその弁護団からも嫌な印象しか受けない。このドキュメンタリーはジョンの視点で作られてはいるものの、どちらかに肩入れして見るのではなく、あくまで米国における訴訟の実態と裁判所の判断やその根拠を追うのが正解だ。そうでないと、うさん臭さだけを感じてしまうことになるだろう。

フィリピンでの同様の事件にも言及され、ペプシのキャンペーンが元で暴動が起きて死者が出た事実が明らかにされる。トップシェアを誇る巨人コカ・コーラにチャレンジするために、なりふり構わずキャンペーンを仕掛けるペプシの姿勢は理解できなくもないが、マーケティング戦略において顧客の軽視は致命的だ。

広告代理店BBDOが重要な枠割を果たすのだが、人目を惹くCMを作ることと、ビジネスで収益を上げることはまったくの別物。クライアントマネージャーの口車に乗ってしまうと、後で大変なしっぺ返しを食らうという教訓には、このドキュメンタリーが最適の素材になる。