【フィギュア】NHK杯 Day-1

フィギュアスケートのグランプリシリーズ、NHK杯真駒内での開催。今シーズンのペアは実力者が軒並み参戦していないので、三浦/木原組にとっては表彰台の高いところに上がるチャンスが十分にある。言い方を換えると、見ていて物足りないということでもあるのだが、三浦/木原組の成長を楽しむだけでも満足できる内容だった。木原のリフトが安定し、三浦もジャンプをミスなくまとめる。顔ぶれ的には、フリーでよほどの失敗がない限り、楽々と優勝できるはずだ。

それ以上に印象的だったのは、髙橋成美さんの解説。選手と特徴をふんだんに織り込み、着氷の場面で「よっしゃ」「あー」と感情を籠めたリアクションを示していて、選手や競技への敬意と愛情が感じられた。アイスダンスを担当した宮本賢二も近いものがあったが、ステップの名称を言われても彼の伝えたいポイントがわからず、よけいな情報のようにも思えた。

女子シングルは、住吉りをんが高得点を出した一方で渡辺凛果はまったくよいところが出せず、坂本花織もミスが目立った。坂本は何となく体が重そうにも見えたが、おそらく日本人選手はピークを全日本選手権に合わせているだろうから、NHK杯の優勝を過度に期待する方が間違っているのかもしれない。

アイスダンスは唯一、日本人選手が優勝に絡まない種目だが、村元/髙橋人気で盛り上がっている。RD8位とはいえ2組のカップルに勝った小松原夫妻もノリノリでよい演技だったし、村元/髙橋も3位まで2点差。アイスダンスは順位の逆転が見込めない競技ではあるが、会場の雰囲気はホームタウンアドバンテージになり得る。また、RD2位に留まったチョック/ベイツ組の巻き返しに期待したい。何かが下りてきて憑依したマディソン・チョックはとんでもない演技をすることがあるから。

男子シングルは山本草太がSP首位となったが、これでプレッシャーがかかってしまうことが心配だ。英国大会でサドフスキーがSP1位からFS最下位となってしまったが、そんなことが起きないことを祈りたい。宇野昌磨は、コンビネーションがつけられず得点が入らなかったにも関わらず2位。この位置なら、優勝の本命だろう。個人的にはシャオ・イム・ファの芸術的なプログラムが非常に充実していたので、FSでも質の高い演技を見せてもらいたい。