【Lilith Czar】Created from Filth and Dust

彼女のInstagramのプロフィールに"Juuliette Simms is gone, Lilith Czar has risen"とあるように、Automatc Loveletterでボーカルを担っていたジュリエット・シムズが改名して出したアルバムが「Created from Filth and Dust」だ。あのパワフルでちょっとかすれた声が好きだったのだが、たまたま同じ時期に聞いていた別のバンドの曲を耳にしたことでジュリエットのことを思い出し、新しいプロジェクトで音楽活動を再開していることがわかったので、YouTubeでチェックしてみると、まさにAutomatic Loveletterのような音が聞こえてきた。

2021年の4月にリリースされていたこのアルバムを迷わずにiTunesでダウンロードしてみると、パンクがベースにありながら、洗練された音作りと安定したボーカルでとてもいい感じに仕上がっていた。オルタナっぽいパンクという印象もあり、ジュリエットの独特な声質をプロデューサーがよく理解していて、それを最大限に引き出した作品と言えるだろう。

ただ、若干不満を持ったのは、似通った曲調に聞こえてしまうこと。それなりに緩急はつけられているし、一本調子なアルバムではないのだが、彼女の声にフォーカスが当たっているせいでどの曲も同じように聞こえてしまう側面が否めないのだ。アルバムを通して聴くと、すんなり耳には入ってくるのだが、あまり記憶には残らない。メロディラインよりもジュリエット・シムズの声を楽しむのが、このアルバムの正しい聴き方ということになるだろうか。