【ドラマ】マンハント

米国製作のドラマ「マンハント」は、シーズン1でユナボマー事件、シーズン2でアトランタオリンピック公園爆破事件と連続爆弾魔を扱っている。どちらも骨太で、濃厚な演技を味わえる本格的な作品だ。シーズン1のユナボマー役は、ヴィジョンを演じたポール・ベタニー。いかにもIQの高そうな表情や、裁判における変化などを実に見事に演じ分けている。FBIの行動分析官を演じるサム・ワージントンも、職場と家庭での自らの立ち位置の違いに戸惑う様子を巧みに表現しており、見応えがあった。

一方シーズン2では、ジャック・ヒューストン演じる真犯人エリック・ルドルフと、メディアに嫌疑をかけられる警備員キャメロン・ブリットンの対照や、捜査官ジャック・ブレナンを含めドラマの焦点をずらしながら展開する作りが巧妙だ。シーズン1が時系列を交錯させている反面、シーズン2では視点を変えることで多面的な視点を視聴者に提供している。後者の方が理解がしやすく、シーズン1から進化した点であると評価したい。

どちらもFBIの官僚的な、もしくは上層部の手柄を意識する捜査をアイロニックに描いており、シーズン1ではSATCやグッドワイフでおなじみのクリス・ノースだから「いかにも感」が強いが、シーズン2では保安官や危険物取締局ATFの捜査官を味方に配することで、ストーリーにより深みを増している。また、シーズン2では誤報を訂正しないメディアをヴィランのように扱っているが、シーズン1も含めゴシップ的な報道を否定的に描いている。配信系の制作が中心になってくると、メディア批判は容易になるだろう。日本のドラマ製作にも、よい意味での変化を期待したい。