【ドラマ】BOSCH/ボッシュ

LAPDハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュを主人公としたドラマで、シーズンごとに完結する犯罪捜査も十分見応えがあるが、それ以上にボッシュと娘マディの親子関係に引き込まれる。シーズン1では14歳だったマディは、大学に進学して検事局や弁護士ファームでインターンを経験したのち、父親の跡を追うかのように成長してゆく。表情や容姿、そして考え方に至るまで、父親に似た正義感と他人に迎合しない独立した個人主義の持ち主であることがよく伝わってくる。

この作品では、主要人物だったキャラクターがあっさり撃ち殺されてしまう場面も多く、急な展開に驚かされる。それでも、新たにスポットライトを当てられるキャラクターも個性的で、また新たな色をつけてくれるのだ。弁護士のチャンドラーや警部補のビレッツといった脇役も存在感を発揮し、判事のソベルや警官のブレイシャーのようにボッシュと交際する女性陣も多彩。米国では年齢差を気にしない交際が比較的多いが、ボッシュの異性関係もかなり幅広い。それでも違和感はないし、それぞれに深い会話がなされているところがボッシュの懐の深さなのかもしれない。

7年分を一週間で一気見したのだが、序盤で登場したキャラクターが終盤に再登場すると、さすがに年齢を感じてしまう。コメディ要素を盛り込んでくれる刑事コンビのデカ箱(Crate)とビア樽(Barrel)は、直近の実年齢で言えば60代と70代だけに、定年延長という設定もかなり厳しくなってきている。デカ箱といいながら、顔もむくみ腹も出てきたので、大ビア樽と小ビア樽のような印象だ。そう考えると、オリヴィア・ベンソンやメレディス・グレイの役を長期にわたって続けている女優は、見せ方を変えながらうまく表現し続けているということなのだろう。

オープニングテーマは、ジャジーなトランペットがフィーチャーされたCaught a Ghostの「Can't Let Go」だが、印象的なフレーズが耳に残って離れない。