【大分―群馬】見違えた前半といつもの後半

最終節に群馬を迎えた大分トリニータは、序盤に素晴らしいサッカーを展開する。ポゼッションでじりじりと持ち上がり、結果的にゴール前のスペースを消してしまっていたことが嘘のように、早い展開から前線が動き出し、判断も早いので群馬の守備が寄ってくる暇を与えない。それでも決定機を逃していたのだが、中に絞ったところで野嶽がクロスを上げ、24分の長沢のゴールを呼び込んだ。サイド攻撃にこだわらないあたりも、いつもとは一味違った攻撃パターンだった。

しかし、1点取ったことで大分はペースダウンしてしまう。序盤からよいポジションを取り続け、決定機を2度も逃していた弓場が37分に2点目を奪ったものの、これで完全に余裕をかましてしまい、ここからは完全にいつものようなポゼッションそのものが目的かのようになってしまった。交代出場の梅崎も野村もコンディションはベストとは程遠く、ゴールの匂いがまったく感じられなくなってしまった。

香川のハンドは不運だったが、その後も群馬は勢いづいて攻め込んできた。羽田の投入で守備ラインを変えるというギャンブルに出て、何とか逃げ切ることができたのは幸いだった。

下平監督の退任が発表されたが、後任には片野坂前監督の名前が取りざたされている。僕としては正直カタノサッカーを評価してはいないのだが、日替わり戦術ではなくなるだろうし、限られた戦力を最大限に使うためという現実的なことを考えたときには、片野坂さんのサッカーは有効だ。来季は若手主体にせざるを得ないし、そうあるべきタイミングだと思うので、選手が大幅に入れ替わることは覚悟しなければならないだろう。