【秋田―大分】形にならないもどかしさ

雨のために「重い」を通り越して水たまりの中でボールを蹴っているような状況では、プラン通りのサッカーを展開することは難しい。それはわかっているものの、それにしてもあまりにも形にならない大分のサッカーに、もどかしさを感じずにはいられなかった。サムエルを起用したものの、彼が収めたボールを受ける選手がいない。何よりも気になったのは、スローインでことごとく相手にボールを渡してしまってはチャンスが作れるはずもない。

守備も不安定で、ここのところ課題だったはずのセットプレーでも、秋田の選手に合わせられるシーンが目についた。結果的にスコアレスで終わったことは、大分にとってはラッキーだったのかもしれない。上夷は相変わらず、かろうじて競り勝ったボールが相手のわたってしまう場面があったが、それも含めて「ボールに触ること」にこだわった結果、つなげずにロストしてしまうことの連発なのはどうにかしてほしい。ポゼッションにこだわってゴールが生まれないことと、根っこは同じことだ。

これで順位を5位まで落とした大分だが、今のチーム状況とゲームの内容からはもっと下位でもおかしくないと感じる。ゴール前で茂~野村~弓場とつないで宇津元がふかしてしまった場面があったが、あそこにいたのが誰であっても決め切れた気がしない。サムエルなら決められたかもしれないが、彼はそもそもあのポジションを取れなかっただろう。そう考えると、結局は絶対的なFWがいないということなのだ。