【アニメ】PLUTO

浦沢直樹の作品は大好きだが、一度読み始めたら単行本を全巻買うことになるのはわかっているので、そうなるとなかなか手が出ない。ちゃんと読んだのは「20世紀少年」と「BILLY BAT」だけかもしれない。手塚治虫のオマージュから作品を作り上げてしまった「PLUTO」がNetflixでアニメ化されたとあれば、これはもう見るしかなかった。

ロボットと人間が共存する未来は、しかし両者が階層関係にあってロボットは実質的に虐げられている。そして、大量殺戮兵器として利用されるロボットは、優秀な人工知能によって感情を持ち始める。作品中にも「ロボットには感情がないと思っているのだろう?」という台詞が登場するが、機械に感情のようなゆらぎが発生するイメージはもちにくい。しかし、AIが進化した状況において、機械学習によって人間の感情がもたらす要素をアノテーションとして与えれば、いわゆる「感情」によるアウトプットのゆらぎをシミュレートすることは難しくないだろう。

繰り返される「憎しみからは何も生まれない」という概念は、ある意味その通りだとは思う。しかし、突き詰めて考えてみると、「憎しみ」とは「愛情」の裏返しなのだ。家族を殺された者が殺人犯にベクトルを向ければ「憎しみ」になり、家族を思えば「愛」になる。その愛を最大多数の最大幸福に振り向けたとき、同様の悲劇が二度と起こらないようにするために法規があり、刑罰がある。それは憎しみの発露ではなく、愛情に基づいた行為なのだ。

それはつまり、ただ単に「非暴力」「専守防衛」「忍耐」ということではないということだ。言い換えるなら、北風ではなく太陽で相手のガードを下げさせるということで、アプローチをどう意識し、どう表現するかの問題だ。