【ドラマ】ホイール・オブ・タイム シーズン2

「ホイール・オブ・タイム」は、物語の構成が見えにくい作品だ。世界観が作り込まれているものの、訳語がしっくりこないこともあって、なかなか頭では理解しづらい。「赤アジャ」「茶アジャ」「万物源」「絶対力」といった独特な用語が、ハードルを上げている大きな要因ではないか。シーズン1も2も全8話だが、後半にならないとエピソードで描かれる事象の意味がつながらず、主要キャラクターの特性を追うだけで精一杯になってしまった。

ただ、それは言い換えると、ハマってしまえば没入感は強くなるはずということ。この後も物語は続くので、徐々にその流れに乗れるような予感もしている。最後に登場した「角笛の英雄」はアベンジャーズのようにも見えたが、今のところチョイ役の域を出ないだけに、今後の再登場や活躍が期待されるところ。ソーやポセイドンのような人物もいたようだが、まったく語られることがなかったので、いまだ全容は謎のままだ。

モイレインを演じるロザムンド・パイクは、僕の中ではどうしても「ダウントン・アビー」のメアリー役であるミシェル・ドッカリーに重なってしまう。表情もそうだが、名家を背負って凛とした言動をしながら異常なまでに自己中心的に見えるあたりも似通って見えるのだ。

この物語でも、やはり「あなたのため」という理屈で当の「あなた」が望まないことをする場面が多くみられる。以前から感じていたことだが、特に海外ドラマではこのズレを葛藤として掘り下げて描く作品が多い。それは価値観の違いということであり、ダイバーシティインクルージョンそのものなのだが、掛け声だけで世の中が変わるものではないことは、本作を含むドラマを見ていても明らかだ。