【サッカーU-22】日本―アルゼンチン

強化試合とは言うものの、選手はオリンピックに向けて代表選出アピールをしなければならない状況の下、強豪アルゼンチンと真剣勝負の場が持てたことは大きな意味があった。序盤はバタバタしたJ2の典型のような展開になったが、すぐに落ち着きを取り戻すと、ダイナミックな展開と個人技がぶつかる激しいデュエルの応酬で、見応えも十分だった。

日本代表は佐藤のゴールで先制すると、しかし攻撃の手を緩め、ポゼッション重視のサッカーに移行してしまう。もちろん強化試合なので、この局面で守備的にシフトするシミュレーションという位置づけならよいのだが、選手が無意識に安全策に寄ってしまい、それがチーム全体を覆ってしまったのだとしたら課題として考えるべきだ。後半の立ち上がりにかけてアルゼンチンも修正してきたのだとは思うが、サイドが起点になれずに、右の三戸が戻して下げるばかりになっていたことが気になった。

アルゼンチンの2ゴールで逆転されたものの、ここからが日本の真骨頂。鈴木唯人の2ゴールは、どちらもフリーになるポジショニングが素晴らしく、そこにボールが出てきたという連携の良さと合わせて、この試合最大のハイライトだった。そしてリードした終盤にカウンターから2点を追加するという理想的な流れになったが、佐藤の先制ゴールも含めて、シュートコースの選択も秀逸だった。

もっともその意味では、一番見事だったのはアルゼンチンで、アルマダのFKからのゴールだった。あの位置から右足で蹴るなら普通はGKの右サイドを狙うが、逆側のあのコースに蹴られては、GK藤田も如何ともしがたかった。

ボールコントロールという視点で見れば、藤田譲瑠チマの足元の技術に驚かされた。アルゼンチンのお株を奪うように、ボールが足元に吸い付くようなプレーで中盤で効いており、攻守のアクセントになっていた。