【東レPPO】サッカリ―土居美咲

土居美咲の現役最後の大会となった東レ・パンパシフィックオープンの女子シングルス2回戦は、前週のグアダラハラを制したサッカリとの対戦。そして、これが名実ともに最後の試合となる。序盤から全開の土居は、攻撃的なテニスのサッカリに一歩も譲らず、真っ向勝負を仕掛けた。ふたりとも随所に素晴らしいショットがあり、本当に計算し尽されたようなコースとプレースメントの攻防は見応えがあった。特にセカンドセット終盤に土居が見せたロブは、最後の最後で観客に土居美咲を印象づけるには十分だった。

それにしても、サッカリのサーブは美しい。流れるようなフォームで、その間のどこにも無駄な動きがない。自分が持っている力を、すべてボールに載せられるようなフォームから繰り出されるサーブは、見る者をうっとりさせてしまうような美しさがあった。

この試合のスタンドには、ビリージーンキングカップ日本代表監督の杉山愛さんや奈良くるみさん、そして現役プレイヤーの本玉、内藤に加藤未唯も観戦していた。さらには、この後にダブルスの準々決勝が控える青山修子と柴原瑛菜までが、短い時間ながらスタンドに現れていたのは、さすがに土居美咲のラストマッチならではだろう。

オンコートインタビューでは、まずサッカリが「今日は土居のラストマッチだから、自分は多くを語らない。こんな試合を戦えて光栄だ」とスピーチすれば、直後のスピーチで土居が「最後にこの舞台で彼女と闘えて幸せだった。サッカリをこの後も応援して欲しい」と返し、お互いにリスペクトにあふれた温かみのある時間が有明コロシアムに流れていた。

この試合の前には、ガルシアがカリーニナと対戦。パワフルなファイター同士の対戦は迫力があり、見ていて油断できない緊張感に満ちていた。ガルシアの上から被せるように叩きつけるショットが炸裂したものの、不安定な面もあって簡単に勝ち抜けたわけではない。明日の準々決勝ではガルシアとサッカリが対戦するが、今のふたりの状況を考えればサッカリが優位であることは間違いなさそうだ。

ちなみに、センターコート第2試合に登場したカサキナは、コンディションがかなり悪そうに見えた。サーブがまともに打てないので、サービスゲームよりリターンゲームの方がやりやすそうな印象。ファーストから入れに行くサーブが続いたにも関わらず、パパミケルは効果的なリターンができず、結局自らアンフォーストエラーを犯すという悪循環。率直に言えば、ダラダラと続く長い試合になってしまい、集中して見ることが困難な凡戦だった。この後の2試合で口直しができたからよかったが、カサキナは1回戦ももったりした印象の試合だったので、かなり印象が悪くなっている。