【ドラマ】ライン・オブ・デューティ

警察の、いわゆる内部監査部門を扱った英国ドラマだが、Netflixでの配信がシーズン5だけなので、前提となる設定を知らずに見始めた。ストーリーは複雑で、途中から見ていることもあって登場人物の相関関係をなかなかつかめなかった。過去のシーズンに描かれた部分を知らないと面白味がわからない場面も少なくないのだが、本筋の警察組織内の汚職を追う部分だけでも十分に見応えがある。

イギリス人というと、尊大で皮肉と独特のユーモアらしきものをちらつかせる鼻もちならない民族という印象があるのだが、まさにそのステレオタイプな発想を地で行くかのようなキャラクター設定になっている。ただ、怪しさ満載で描いてきた人物が意外にそうでもなかったり、皆がうさん臭い中で比較的そうでもない人物の方が巨悪に近い存在だったりと、視聴者を騙しながら進むので目が離せない。まるで実録ドキュメンタリーかのようなエンディングの見せ方も含め、キャラクターの設定には強いこだわりが感じられた。

俳優陣は、それほど知った顔ぶれが出てこないものの、さすがに演劇大国なので層は厚いのだろう。腐敗した警察組織を誇張気味に表現することに関しては、さすがの一言だ。それにしても、本当にここまで英国警察は腐敗しているのだろうか。主要な登場人物のほとんどが、いわゆる「脛に傷を持つ」状況のように見受けられ、米国ドラマでも市長との確執があるように、政界との駆け引きも随所に登場する。警察を独立した組織とするか、地方自治体に紐づけるかにもよるのだろうが、正常に機能させるにはどちらがよいのか考えさせられる。