【なでしこJAPAN】アルゼンチン戦

アルゼンチン相手に4-3-3のフォーメーション練習をしているかのようなゲームで、3点目を取った直後にいったん雑になったには残念だが、パスのつなぎ方は本当に美しかった。自分が出すパスの受け手がどう動いて、次に何をするか。それらがしっかり描けているからこその連携で、流れるようなパスワークによるワンサイドな展開だった。

熊谷をアンカーで起用して4バックに移行したのだが、この変更の一番重要な意味は「遠藤を左サイドバックで起用したこと」だ。ワールドカップスウェーデン戦では、相手の右サイドからのクロスを警戒する上で、遠藤の守備力を不安視して先発から外した池田監督だったが、僕もこのブログで指摘したように、なでしこジャパンのストロングポイントを自ら手放してしまったことに他ならなかった。その反省からの変更だと考えるのが自然であり、歓迎すべきことなのだ。

熊谷はクラブでもボランチでプレーしており、場合によっては最終ラインに下りて両サイドを上げたり、5バックで守備を固めたりというオプションも可能だ。清水はセンターバックもできるし、前にスペースがあった方が活きるので、4バックは望むところだろう。

ただ、忘れてはいけないことは、アルゼンチンが決して強豪ではないということ。男子が強いだけに誤解しがちで、しかもアルゼンチン女子代表の選手たちも、個人技やオフサイドアピールなど変なところで自分たちを過信している節があった。技術のない選手たちに男子並みの戦術を当てはめようとしている印象もあり、そんな相手に大勝したというだけのことだ。FIFAランキングでは、アルゼンチンは32位。アジア勢で見ると日本が11位で韓国が18位、ベトナム35位、タイ39位、台湾40位。いわば、勝って当たり前の相手なのだ。

それにしても、とどめの8点目は清家の相手GKをおちょくるかのようなゴール。アルゼンチンにとっては、これ以上ないほどに屈辱的な敗戦だったはず。それでも彼女たちが成長する上では、鼻をへし折られることも必要なのだ。