【ラグビーワールドカップ】日本―チリ

ワールドカップの大事な初戦で、格下とみられるチリにいきなりトライを奪われるという嫌な感じの展開だったが、浮足立ちかねないところで、すかさずファカタヴァがトライを取り返してくれたことが大きかった。終わってみれば6トライを奪った上に、松田のコンバージョンもすべて成功。どのキックも危なげないコースに飛ぶ安定したもので、これからの戦いでも期待度は大きくなった。

ただ、ここから強豪国との対戦を控えている中では、コンバージョン以外のキックをもっと効果的に使いたいところ。フランスやイングランドはDGも多用するし、サッカーのサイドチェンジのような長めのキックを正確に味方につなげるスタイルを取り入れている。どうしてもボールサイドに寄りがちになれば、オープンな状態でつなぐにはキックは不可欠だ。それも、高く上げたパントキックに突進するアップ&アンダーではなく、サイドを変えることに意味がある。あくまでトライを狙うことに異論はないが、ハイパントやDG以外のキック戦術も取り入れて欲しいものだ。

個人的には終盤に日本が見せてくれた、いわゆる「8番9番」がツボだった。SHがスクラムから離れ、No.8がボールを出してSHに渡すものだが、これを起点にトライを奪ったのは美しかった。パスを回す際に判断が遅れたり、ハンドリングのミスが散見されたことが気になるので、イングランド戦に向けてアジャストしてもらいたい。姫野の負傷は痛いが、埋められない穴ではないだろう。