【ラグビーワールドカップ】日本―南アフリカ

FWの強さあってのBKの展開が日本の持ち味だと、グループリーグの4試合を見て感じていた。アイルランドにもスコットランドにもスクラムで負けなかったことが、松島や福岡のトライにつながったのだと。そして今日の準々決勝は、その良さを完膚なきまでに消された。正確なキックで得点のベースを支えていた田村とラックやモールで中心的役割を果たしていた姫野が早々に交代したことが、南アフリカの戦術の成功を物語っている。

そして南アフリカは、自分たちの強みであるラインアウトを確実に取ってきた。ビジネスでもスポーツでも、パフォーマンスを向上させるために強みを伸ばすことと弱みを克服することの優先度が語られるが、この試合の南アフリカはその両方のプランをしっかりと練り、そして実行した。その結果、スクラム、ラック、モール、ラインアウトといったポイントとなるプレーで優位に立てない日本には、ウィングの走力を活かす場面が訪れなかった。

そんな日本チームにおいて光っていたのは、FB山中の積極的なプレーとWTB松島のハイパント処理くらいだろうか。FWでは、PR具の縦への推進力が目立った。南アフリカのシンビンの間にトライが取れていれば展開は変わったかもしれないが、今日のゲームプランを見る限り結果は同じだったのではないだろうか。それほどに戦術の差を感じさせられた試合だった。

初の決勝トーナメントという結果をもって、ブレイブブロッサムズのRWC2019は終わった。期待以上の結果には感謝しているが、これからトップリーグや学生リーグをいかに盛り上げ、ブームをブームで終わらせないかが重要だ。