【バスケワールドカップ】米国―ドイツ

リトアニアに敗れている米国だけに、順当に勝ち上がれる予感はなかった。もともとNBA優先の風潮の中ではドリームチームの結成も容易ではなく、これまでの世界選手権やワールドカップでもさほど結果を残せていないからだ。準決勝も序盤からすっきりしない展開で、ドイツに巧みなスペース作りをされ、ファウルトラブルを避ける甘いディフェンスと相俟って1Qから33点を奪われてしまう。前半終了時点ではどうにか逆転してみたものの、3Qで一気に突き放されたことが最後まで響いた。

米国には最後までクラッチシューターが登場しなかった印象で、ビハインドの場面で3Pを打てなかったことも痛かった。どちらかというと「打たせてもらえなかった」という方が正確で、アウトサイドから狙えずに中に入ってもディフェンスが堅く、体を当ててフェイクを入れてどうにか2点取ることが精一杯という状況に陥った。実は、これはドイツの初戦となった日本戦でも言えたことで、アウトサイドもインサイドもオフェンスの芽をつぶされた日本と同じ轍を、「あのアメリカ」が踏んでしまったということだ。

米国は3Pの確率が48%で、決して低いわけではないのだが、追い上げる状況でそもそもアテンプトができないのでは点差は縮まらない。そんな中で3Pを期待して長いプレータイムをリーブスに与えたが、マイボールにして「さあ、流れを変えるぞ」というタイミングでバックコートで自分から当たりに行ってオフェンスファウルを取られてしまった場面は、流れという意味で本当に大きいポイントだった。逆にドイツは、シュルーダーが存在感を発揮。日本開催の世界選手権でのノビツキーがそうだったように、とにかくエースにボールを預ける戦術にも見えた。

決勝はドイツとセルビアという華のない対戦になってしまったが、バスケの醍醐味を味わうという視点に立てば十分に楽しめるカードだろう。