【USオープン】女子シングルス準決勝

テニスの全米オープン女子シングルス準決勝は、2試合とも白熱した素晴らしい試合だったが、結果としてはファイターが勝ち残った形になった。ガウフとムホバの試合はガウフが先行しながらも、ムホバが粘って譲らない展開。終盤まで長いラリーも多くあり、双方がしっかり攻めていて様子を窺うようなリターンは見られない。40本続くラリーもあって、お互いに厳しいところを攻めつつ、脊髄反射のようなリターンでもオーディエンスを湧かせた。「静のムホバ」に対して、感情をストレートに表現する「動のガウフ」。そんなココをスタンドで見守る大坂なおみは、姉のような母のような柔和な表情だった。

サバレンカとキーズも、もつれた熱戦だった。ファーストセットをベーグルで奪ったキーズがセカンドセットも取るチャンスがありながら、徐々にギアが上がったサバレンカが抵抗する。序盤のサバレンカは、気分が乗っていない印象すらあったが、セカンドセット終盤からのテンションの上がり方は、まさに何かが憑依したかのようだった。ファイナルセットでもキーズが先行するものの、キーズのちょっとした緩みをサバレンカは見逃さない。長い緊迫したラリーでは、唯一エアポケットのように甘くなったキーズのリターンにつけこんだ。そして、キーズはサーブが入らなくなってセカンドサービスを入れにいってしまったところで、精神的にも劣勢になってしまったことが最大の敗因ではなかったか。

ファイター同士の決勝は見応えがありそうだが、環境保護団体や酔っ払いが再三大会の進行を邪魔しているようなので、どんな雰囲気になるのか非常に気になるところ。ふたりがテニスに集中できる環境を作ることを、ぜひともトーナメントディレクターにお願いしたい。