【ローランギャロス】車いす男女シングルス決勝

ローランギャロス車いすテニス、シングルスの決勝は男女とも見応えのある素晴らしい試合だった。女子は上地結衣が、なかなか越えられない壁になっているデ・フロートに挑んだ。東京オリンピックではサービスゲームを有利に進められずに苦しんだ上地だが、その点はかなり改善されていたように見えた。ダブルフォルトも多いデ・フロートは、しかし要所を締めて流れを渡さない。ていねいに、ていねいに戦術を組み立ててプレーしていた両者だが、決め手はサーブとリターンのスピードだったのではないだろうか。正確なショットをコースに打ち分けられては、対処は難しい。

女子の決勝が終わってすぐに男子のコートにWOWOWオンデマンドの配信を切り替えたが、この時点では国枝慎吾が順当に勝ちそうな展開。ところが、ここから一気にフェルナンデスが流れをつかむ。いつもならイージーミスの多いフェルナンデスだが、とにかくエラーが少ない。思い切り叩いているようでも、しっかりコースに決まっていて、つけ入る隙はなくなりつつあった。

国枝がセットオールに追いつかれて、ファイナルセットもフェルナンデスがブレークを先行し、すぐに国枝がブレークバックする展開。4-4からようやくキープして一気に行くかと思いきや追いつかれ、結局6-5からの第12ゲームをブレークして国枝が優勝を決めた。勝負どころでの厳しいコースを狙ったショットが決まるのは、さすがとしか言いようがない。チェアアンパイアのコールには不満だったようで、優勝を決めて握手する際に、目を合わせていなかったのはせめてもの抵抗だろう。

国枝はこの後、フェルナンデスと組んでのダブルス決勝が待っている。表彰式でも「また見に来てください。午後5時です」とアピールしていた。上地は、今まさにダブルス決勝をデ・フロート組を相手に戦っている。ファン・クートはミスも多いので、チャンスは十分あるはずだ。