【ドラマ】ハンドメイズ・テイル/侍女の物語 シーズン5

この作品ほど、演技力が光るものはない。その中でも、監督も兼ねているエリザベス・モスが傑出していて、ちょっとした表情に滲み出る凄みというか感情の起伏には恐ろしさすら感じるほどだ。彼女とセリーナ・ジョイの二人芝居のようなエピソードもあるが、飽きることなく見ていられる。あまりの緊張感に、こちらが疲れてしまうほどで、演技する側は神経も体力もすり減らしたことだろう。

セリーナ・ジョイ役のイヴォンヌ・ストラホフスキーにしても、「リディアおば」を演じるアン・ダウドにしても、そしてローレンス司令官役のブラッドリー・ウィットフォードにしてもキャラクターがしっかり確立されていてブレないし、それを俳優陣が忠実にこなしているところが最大の特徴と言える。「この展開でこのキャラクターの性格だったら、確かにこうするだろう」という納得感があって、その描写が作品全体のテーマを深掘りしているのだ。

シーズン1当初は司令官の妻と侍女という関係だったセリーナ・ジョイとオブフレッドころジューンが、このシーズン5では同等と言ってよい位置づけになり、セリーナがその凋落を自覚するにつれ、自身の運命を嘆くことになる。最終エピソードでは、不思議な縁の終着点として再会する二人は、次のシーズン6でどうなってゆくのだろうか。西に向かう列車の行方が気になる。