【ドラマ】シークレット・インベージョン

物語としての狙いはわかるし、この後に続くはずの「マーベルズ」につなげる意図もあったのだろうが、終わり方が妙に普通のドラマのような仕立てであったことには違和感がある。これからもスクラル人はMCUにおいて存在感を発揮すると思われるが、その立ち位置を象徴しているのかどうか、判断しにくいところがすっきりしない。

スクラル人の歴史には、あたかもパレスチナ問題のような部分がある。英国の二枚舌外交、つまりフセイン・マクマホン協定でオスマン帝国崩壊後においてアラブ人に国家建設を認める一方、ユダヤ人にもバルフォア宣言で国家を保証していた事実によって、現在もパレスチナでは血が流され続けている。安住の地を与える約束を反故にしたという意味では、まさにこれらの事実を追っているようにも見えてしまう。他の作品でスクラル人がどのように扱われるかが、僕にとっては興味のあるところだ。

俳優陣では、とにかくオリヴィア・コールマンが圧倒的。主人公のニック・フューリーを演じるサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、ドン・チードルベン・メンデルソーンらベテランが並ぶ中で、コミカルな要素を交えながらも冷徹さを醸し出して物語にアクセントをつけていたのは、間違いなくオリヴィアが演じるソーニャのキャラクターだった。もう一度彼女だけに注目して見返してもよいと思うくらいで、スピンオフを期待する気持ちさえ生まれてしまったほどだ。