【女子ワールドカップ】日本―スペイン

なでしこジャパンのスペイン戦は、先に結果と前半のゴールシーンを見た上で録画を視聴する形になった。録画を見る前には、もっと圧倒的にポゼッションを許していたと思っていたのだが、実際に映像を見ているとそれほどでもない印象だった。ショートパスを多用してのポゼッションからビルドアップするスペインのスタイルは大分トリニータのようなサッカーだが、それでカウンターから失点して敗れてしまうところまで含めて大分そのものだった。

日本は3-4-2-1とも5-4-1ともいえるシステムだったが、おそらく右ワイドの清水はセンターもできる選手なので守備重視、そして左ワイドの遠藤は前にスペースがある状況を作って攻撃の起点となることを期待したのだと思う。そして、それは先制点の場面で完璧にハマる。遠藤が早い判断で前線のスペースにボールを送ったのは、まさに戦術が徹底したから迷いがなかったのだろう。植木と宮澤の決定力があってこそだが、それを前提に考えれば最適な戦術であり、11人の選抜と戦術の徹底は池田太監督ならではの成果となった。

前半を3-0で終え、このままでも悪くはないものの、できれば後半に1点でも追加した上でクリーンシートの達成を求めたくなるところ。それをあっさりと実現してしまうところも、ある意味恐ろしい。田中美南タッチライン際で残したボールを拾ってひとりで4人を相手に攻め上がり、ゴール前の一瞬の隙を突いて華麗なコントロールシュートを決める。なんと美しい軌道だったことだろうか。左足から放たれたボールは、巻くようにゴールの左上隅に収まる。

僕は長いことベレーザを応援しているが、2011年の夏に駒沢で観戦したゲームで永里亜紗乃、木龍と3トップを組んだ田中美南がFW3人で奪った素晴らしいゴールを実体験している。そこから時間が流れ、ひとりでここまで戦えるように成長した姿が頼もしく、誇らしい。今は移籍してしまっているとはいえ、田中も宮澤も元ベレーザ。そして植木はベレーザのエースだ。まだ実力を発揮し切れていない長谷川唯と清水梨紗にも、脚光が当たる場面が来ることを願っている。