【ウィンブルドン】ボンドロウソバ―ジャバー

昨年のウィンブルドン決勝で敗れたリバキナを準々決勝で、そして難敵サバレンカを準決勝で下したオンス・ジャバー。3度目のグランドスラム決勝で初制覇に挑んだが、伏兵と言ってよいボンドロウソバの前に屈してしまった。いきなりのブレークスタートで順当に勝つ予感すら漂ったものの、勝負どころのショットをことごとく外してしまう。疲労の蓄積で体は動かない一方で、気持ちだけが急いてしまったのではないだろうか。ネットにかけるシーン、そしてアングルショットがワイドにアウトになるシーンが目についた。

ただ、一方のボンドロウソバも完璧なテニスには程遠く、ファーストセットもセカンドセットもブレーク合戦の様相を呈していただけに、いかにサービスゲームをキープするかがカギだったようにも思う。結果的に勝負を分けたのは、背負っているものの重さだったのかもしれない。アラブ女子初のグランドスラム制覇という悲願もあれば、ムスリマとしての思いもあったはず。手首の手術からの復帰途上でノーシードのボンドロウソバには、かかるプレッシャーも少なかったことは想像に難くない。

ジャバーには、ぜひUSオープンで優勝してもらいたいものだが、そのためにはまず楽しんでプレーすることが大事ではないか。背負っているものをいったん下して、テニスプレイヤーのしての原点に立ち返ってみることが必要だろう。その意味では、Netflixのドキュメンタリー「ブレイクポイント」への出演も負の影響があったと思われる。シルバーメダルコレクターのような立ち位置に固定してしまってはもったいない存在なのだから、ここからの立て直しに期待したい。