全米オープンの女子準決勝、大坂なおみとジェニファー・ブレイディの一戦は、パワー勝負となった。ふたりとも、しなやかなフォームから力強く伸びのあるサービスを叩き込み、パワフルなショットでラリーを繰り広げる。コースの読みもよく、プレースメントも深い。お互いの持ち味を出し合った好勝負と言ってよいだろう。勝負を分けたのは、やはりグランドスラム2勝の経験だろうか。ファーストセットのタイブレークでミスを連発してしまったことは、ブレイディには痛恨だった。
それにしても、ブレイディのテニスは小気味よかった。僕は男前な女子テニス選手が好きで、それは例えばガルシアだったりガブリロワだったりするのだが、このブレイディもタイプ的には同列に来るように感じた。思い切りもよいし、真っ向勝負を厭わない。表情ににじみ出る勝ち気な一面も心地よいテニスにつながっていたように思う。
女子決勝での大坂の相手はアザレンカ。S&Wで果たせなかった決勝対決の再来だが、今大会のアザレンカはテニスを楽しんでいるように見える。大坂がBLMの問題などを抱えてテニスに集中できないとすると、アザレンカに分があるように思える。余計なことを考えずに、目の前の相手に打ち勝つことだけを考えられれば、今の大坂なら優勝できるはずだ。