【全豪オープン】バーティ―コリンズ

全豪オープンの女子シングルス決勝は、地元オーストラリアのグランドスラム初制覇を目指すアシュリー・バーティがダニエル・コリンズと対戦。ファーストセットはバーティが危なげなく取ったものの、セカンドセットに入ってコリンズが立て直し、2ブレークアップに持ち込んだ。WOWOW解説の伊達公子さんは「この大会でコリンズだけがバーティのスライスに対応しているので、バーティが苦労している」という趣旨のコメントをしていたのだが、僕の目にはバーティのスライスが伸びを欠いているように見えていた。

いつものバーティなら、伸びのあるスライスショットがエンドライン際で落ちるのだが、この日はコースこそ同じであるとは言え、スピードに乗っていないためにコリンズが処理に困らかなった。変幻自在なはずのスライスも伸びを欠いてしまうと、すべて同じ球種として対処できそうな印象だった。これが、特にセカンドセット序盤でバーティが苦しんだ要因ではないだろうか。

しかし、バーティはここから盛り返す。ブレーク2つを奪い返してイーブンに戻すと、タイブレークはその勢いで一気に押し切った。スライスに頼らずに、オーソドックスなテニスに切り替えたということなのかもしれない。コリンズも攻める気持ちは最後まで貫いていたが、要所でミスが出たのは大舞台の場数の差なのだろう。

オーストラリア勢同士の戦いとなったこの後の男子ダブルスでは、観客が相変わらず大騒ぎして退場者すら出ていたのだが、この女子シングルス決勝は比較的平穏だった。サーブ時の聞き苦しい声援が少なかった一方、ポイントが決まった際の盛り上がりは素晴らしかった。テニスの生観戦とは、本来こういうものなのだ。