【北欧ドラマ】はかなき世界

デンマークのドラマ「はかなき世界」は、そのうち全体像が見えてくるだろうと期待しながら見終わったが、結局何が何だかわからないままだった。ひとつの事件をじっくりと追うのが北欧ドラマの魅力だが、そもそも「事件」がファンタジー的なものなのかリアルにとらえるべきものなのかがわからない。それは結末を見ることで、なおさら強く感じる思いだ。北欧らしい作りではあるのだが、チェスナットマンのような収束感はなく、拡散したまま方向が定まらなかった印象だけが残る。

原題は「Equinox」なので、春分あるいは秋分を表す。ストーリーの展開が太陽と地球の位置関係である春分夏至秋分冬至に沿っているのだから、もっとその季節とか天文的な意味合いを見せてほしかった。そもそも、それを無視して「はかなき世界」という曖昧で何も伝わってこないタイトルにしてしまった時点で、日本での話題性もなくなってしまったように思う。

主演のダニカ・クルチッチは、チェスマナットマンで刑事役を好演していたが、本作においてはどうにも存在感を発揮できなかった。こちらの方が古い作品なので、彼女にとってはチェスナットマンで面目を躍如したというところだろうか。