【カリビアンOP】錦織圭―ハイデ

ATPチャレンジャーの準決勝で、錦織はハイデと対戦。ハイデはATPランキング423位というポジションにいる選手だが、このレベルの場合、ランキングを妄信するのは危険だ。特に欧米のように自国と近隣国の大会だけ回っていてもチャンスがある選手とは異なり、大金を掛けてまで世界を転戦できない選手は少なくない。大会に出なければポイントは稼げないし、ポイントが積み上がらないと大会にも出られない。余談になるが、加藤未唯が失格に伴ってポイントも剥奪されてしまったことは、次の大会への出場チャンスが狭まってしまうということなのだ。

さて、準々決勝の時点ですでに疲労困憊といった雰囲気だった錦織は、序盤からやはり動きが重い。腹筋にはテーピングまでしていたので、コンディションは万全には程遠かったのだろう。あと一歩、あと少し早く動けていれば返せたであろうリターンをネットに掛けたり、無理せず見送ったりという場面が続いた。それでもハイデにリードを許さなかったのは、錦織の経験と技術の賜物。ここぞという場面でのドロップショットやウィナーは、さすがという貫禄を感じさせた。雨天で試合開始が遅れ、スタンドもいま一つ盛り上がらない感じではあったが、ときおり見せる錦織のスーパープレーは見応え十分だった。

ファーストセットは5-4で迎えた第10ゲームでギアを入れ替えてブレークで奪うと、セカンドセットは相手のミスが増えたところに、自身のミスもありながら取るべきポイントはしっかり取って勝ち切った。試合後はさらに疲労の度合を増したような表情ながら、ここまで来たら決勝もという欲が出てきた様子。決勝の相手はATPランキング1,000位内に入らない19歳のマイケル・ゼンで、錦織にとってはかえって当たりたくない意識もあるかもしれない。無理してケガが再発しては元も子もないが、復活を宣言するチャンスはものにしてもらいたい。