【大分―岡山】間に合ったスイッチ

前節に続いてゼロトップを採用した大分は、前半のうちにビッグチャンスを2度逃してしまう。弓場のシュートは野村に当たってネットには届かず、藤本のゴールは中川のポジションがプレーに関与していたとしてオフサイドの判定となった。前半途中で副審が負傷して第4の審判員が代わりを務めたのだが、オフサイドもこの審判による判定だった上に、御厨主審も含めて不可解な岡山有利の判定が重なった。

嫌な雰囲気で後半に入ったところ、案の定ペースがつかめなくなる大分。局面を打開するには選手交代をきっかけとしたいところだが、この日の下平監督はとにかく動かない。パスミスの目立つ池田や足元に収まらない松尾を下げる必要があったと思うのだが、ようやくカードを切ったのは73分だった。しかも前節でそれなりに仕事をしたサムエルではなく、故障明けの渡邉新太。2トップならまだしも、これは理解に苦しむ采配だ。結局、サムエルを投入した後に、渡邉のドリブルからサムエルのキープを通じて藤本のゴールが生まれることになる。遅すぎるスイッチだったが、何とか間に合ってくれたのは何よりだ。

大分の今季の形は、セットプレーとショートカウンターと割り切ることは可能ではあるが、それにしてもゼロトップというFWの価値を著しく軽視するような戦術は受け容れ難い。FW2人の連携で点が取れれば見ているサポーターもワクワクするが、セットプレーでしか点が入らないのではおもしろさに欠ける。レゾド1万人というハッシュタグでキャンペーンを展開するくらいなのだから、来場したサポーターにサッカーの魅力を感じてもらうことも考えた方がよいのではないだろうか。