【ドラマ】レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと

最初のエピソードを見始めた時点では何の話なのかもわからないし、とにかくストーリーテラーによる講釈が長いので、モチベーションがまったく上がらなかった。ところが、我慢して2話目を見たあたりから一気に引き込まれてしまう。奇想天外というか、実に馬鹿馬鹿しい展開で、リアリティなど微塵も感じられないが、そこがかえって面白く感じてくるのだ。フィクションだからこそ自由に脱線してよいのだという方向性にハマれば、きっと楽しめるだろう。

毎回出てくる怪しげな人物やあり得ない設定に、しっかりと演技で見せる3人のきょうだい。ヴァイオレットもクラウスも、そして乳児から成長するサニーまでもが実に多彩な表情を見せてくれる。ニール・パトリック・ハリスの振り切った演技も見ものだし、全体的に吹替も尖っていて、わざとらしさを前面に押し出して作り物感を増幅させている。最後にはつながるのだろうと思わせるプロットが予想外の結末を見せた上に、次のシーズンへの伏線になっていたりもするので、興味をうまくつないでくれている印象だ。

米国ドラマでは「里子」や「信託基金」が頻繁に出てきて、日本人的な感覚ではこれらを理解することは容易ではないのだが、この作品を見ていると何となく合理的な仕組みのようにも思えてくる。両親を亡くした子供が、誰によってどのような扱いを受けるのか、その資金はどう使われるべきなのか。それらが明確に文書になっているということも、契約社会のなせる業なのだろう。

オープニングの音楽もそうだが、使われる楽曲は歌詞のおもしろさも含め、非常にキャッチーで中毒的な要素がある。仕事中にも脳内でリピートしてしまうのは、ちょっと困るのだが…