【藤枝―大分】クロスの精度

3連敗中の大分にとって、このゲームで見せたクロスの精度は非常に大きかった。1点目は上夷。連敗中には失点に絡んでおり、前節でのペレイラと香川の退場がなければ帯同することもなかった選手が、きれいなクロスを伊佐に合わせて絶妙なアシストになった。そして、2点目は野村。ゴール正面で合わせるための曲線が描かれ、弓場のヘッドを見事に導いた。こんなプレーが継続的にできれば、得点力は間違いなく安定するはずだ。

大分がよかったのは、それだけではない。GK高木のファインセーブ連発は、相手のシュートが正面に来たというラッキーな面もあるとはいえ、あれだけ当たっていれば安心感がある。そして、保田のポジショニングと前を狙うパスも、ゲームの流れを生み出す原動力になっていた。ボランチは弓場も野嶽も好調なので、保田の出場機会は限られてはいるが、U20代表の経験も活きているのだろう。

一方で課題もある。無失点でクロージングができたとはいえ、危ない場面も多かった。その一番の要因はデルランの足技がミスになることだ。開幕節ではヒールで決勝点をアシストしたように、恐らく彼は足技に自信を持っているのだろうし、日本なら通じるという思いもあるはず。しかし、プレッシャーの早いJ2では、それを引っかけられてロストする懸念は常につきまとう。

また、左サイドから仕掛けるときには、逆サイドの茂がアタッカー的な役割を取ることが期待されるが、シュートミスが多い。磐田戦でゴールを奪ったようなパフォーマンスをそうそう望めるわけではないのはわかっているが、期待はしてしまう。藤本の仕掛けも、開幕当初より迷いが感じられるので、このあたりの連携にも、もう一段の向上を望みたいところだ。