【映画】ELLEGARDEN: Lost & Found

ドキュメンタリー映画であることは理解していたのだが、ここまでインタビューの部分が多いとは想定していなかった。ほぼ全編にわたって、エルレのメンバー4人が語る構成になっており、ときおりライブ映像やゲストのインタビューが差し込まれる。音楽要素に期待していただけに拍子抜け感はあるものの、これはこれで面白い作品に仕上がっているという印象だ。

特に印象的だったのは、活動休止を巡る経緯を語る生形真一の真剣な表情。遠い目で過去を振り返るのではなく、いままさに目の前で起こっている状況を語るかのような迫力があって、彼らの活動に賭ける思いがひしひしと伝わってきた。また、高橋宏貴の映像に切り替わって数秒間沈黙が続く場面は、どんな言葉よりも彼の心の動きを伝えてくれたので、この沈黙をカットしたり編集したりせずに見せてくれたことに感謝したい。本八幡のライブハウスThe 3rd Stageでの初期のライブ映像や活動休止前のライブを今の彼らと比べてみると、表情や容貌にもかなり変化がみられて時代も感じられた。

また、細美武士の子ども時代の話も、ちょっと僕自身に似ている部分があって興味を引かれた。最後に残った一粒のキャンディを誰が食べるかという場面で、僕なら「いつ終わるかわからない駆け引き」を終わらせようとして、そのキャンディに手を出すような気がする。コミュニケーションが下手であることを自覚しているという細美だが、それはもしかしたらいろいろなことを考えた結果として選択した行為が、安易な自己主張に見えただけかもしれない。

矢野顕子の登場は意外だったが、坂本教授の訃報から時間が経っていない時期なので、元気そうな表情に安心してしまった。個人的には、ワンオクのTAKAの登場については、作品全体のテンションを保つためには不要だったのではないかとも思うが、興行面も考えれば妥当な起用だったのだろう。