【ドラマ】カササギ殺人事件

推理小説家の殺人事件と、彼が書いた推理小説の映像化が折り重なりパラレルに進行する展開は、見る者にとってはとっつき難さを感じてしまう。ただ、キャラクターの設定や描写が巧く、中盤以降は引き込まれてしまうので見て損はないドラマ作品だ。いかにも英国風な押しつけがましいユーモアにあふれ、スノッブな文化を味わうこともできるが、それは好き嫌いが分かれるところだろう。

主人公のひとりともいえる探偵アティカス・ピュントのキャストが地味なのは意図的なものだろうが、死んだような目と表情は世界観に没入することを妨げる。それこそがまさに現実の話と小説の話を切り分けるための演出であることは理解した上で、やはり違和感を覚えてしまった。魅力の薄い役者を長い時間にわたってみていなければならないのは、なかなか辛いものだ。

一方で、編集者のスーザン・ライランドを演じるレスリー・マンヴィルや小説家アラン・コンウェイを演じるコンリース・ヒルの演技は華もあって見応えがある。やはりキャスティングにおいて、このあたりの要素は必要なのだと思わされた。全6話と短めの構成なので、一気に見てしまうことをオススメしたい。