【ドラマ】SEAL Team/シール・チーム シーズン4

海軍特殊部隊を描く「シール・チーム」のシーズン4は、これまで以上に骨太で重いテーマを扱って展開する。序盤では准尉に昇格したレイがチュニジアで拉致され、その奪還に向けてブラボーチームが暗躍する。主人公ジェイソン・ヘイズもレイも、それぞれにメンタルに問題を抱え、ソニーとリサの隠れた交際とともにチームに影を落としながら進行するので、米国ドラマにしてはかなり異質な印象になっている。

この作品を見て感じるのは、米国が直面する「戦争」。ロシアのウクライナ侵攻という状況に対して、米国もイラン、アフガニスタン、シリアなどに軍を投入して関与し続けている。もちろん大義にどこまで納得性があるかということを考えれば、ロシアと米国がやっていることに差があるとは思う。しかし、他国への干渉という視点で見れば、それらに大きな違いはない。価値観の違いと言ってしまえばそれまでで、ダイバーシティが叫ばれるご時世にあっては、それがプーチンの言い訳にもなり得るし、同じ価値観を持つ東アジア諸国が連携したとしても不思議ではない。

シーズン4の米国での放送は2020年12月以降なので、ウクライナ問題はまだ発生してはいなかった。ただ火種はすでにあったはずだし、中国の南シナ海領有権主張や本作の後半に登場するボコハラムなど顕在化している問題もあった。自国、あるいは自身の権益拡大なのか、エコシステム維持という大義なのかは、「人権」という旗印の使い方の問題であって実はそれほど大きな違いはないとも言える。国連が十分に機能するとは思えない中、人類が野性を取り戻してしまえば、もっと不穏な時代が訪れたとしても不思議ではない。