【Disney+】Bono & The Edge: A Sort of Homecoming

Disney+で配信が始まった「Bono & The Edge: A Sort of Homecoming」は、U2のボノとジ・エッジが故郷ダブリンを訪れ、トーク番組MCのデヴィッド・レターマンの視点で語られるドキュメンタリー。音楽要素に加えて、ダブリンのパブやフォーティフットなどアイルランドの風景も映し出される。U2の活動は保守的な政治への反発から始まったと語り、北アイルランド問題に揺れていた時代の映像につなげる。アイルランドは訪れたこともあるので、それなりに理解しているつもりではあったが、ボノたちがどのような時代を生きてきたのかがあらためて浮き彫りになったように感じた。北米にもアイルランド系移民は多いので、ボノたちのメッセージが米国に伝えられることの意味も大きいはずだ。

インタビューのシーンでは、ボノがジ・エッジにツッコミを入れ、ジ・エッジがいつもの飄々とした雰囲気でそれをやり過ごす。関係性が構築できているからこそ、曲作りに関する発言を否定したり、いじったりすることができるのだろう。ボノの「ジ・エッジは曲作りからプロデュース、演奏まで一人でできてしまうのに、そうしない」という発言に「ひとりじゃ面白くない」と返したジ・エッジの発言は、軽口のようにも聞こえるが、おそらく本心なのだろう。人にはそれぞれ心地よいポジショニングがあり、ジ・エッジにとってそれはフロントで目立ちまくることでも、孤独にスタジオで作業だけすることでもないのだ。

このドキュメンタリーの進行役を務めたデヴィッド・レターマンは、いかにも昔の時代のジョークという発言が多く、自分の近くにいたら「老害」に感じるような人物。75歳という年齢を考えれば致し方ないのかもしれないが、ボノとジ・エッジを奥深さを引き出すにはミスキャストだったように思えてならない。