【ドラマ】ザ・プレイリスト

Spotifyのビジネスを作り出した6人の関係者を、全6エピソードにわたってひとりずつフォーカスを当てる構成で描くスウェーデン製作のドラマ「ザ・プレイリスト」。Netflixの説明では「フィクションドラマ」という位置づけになっているが、ダニエル・エクやマルティン・ロレンツォンら登場人物は実名を使っており、見た目も似た役者を起用している。ドラマの作りは演劇的で、芸術性の高いミュージカルの演出を見ているかのようでもある。

楽曲をダウンロードするのではなくストリーミング配信という手法を取りながら、アーティストへの著作権料という形での売上原価の支払いによって収益が圧迫されることと闘うダニエル。レコード会社がすべてを握る業界の既得権益構造を打ち破るはずが、仲間のはずのアーティストからも反発されてしまい、シンガーの友人からも拒絶されることで悩んでゆく。DXの世界でディスラプターになるはずだったのに、気づいてみれば自分が権益の中心になっただけなのか。このテーマには、なかなか興味深いものがある。

ダニエルを演じるエドヴィン・レンドレは、孤高のプログラマー、野心を抱くアントレプレナーといった姿を演じる一方で、一個人としてのダニエルの心理描写にも対応している。ちょっとした表情や言い回しにも、場面や設定をしっかり踏まえた演じ分けがされているので、そのあたりの見応えも十分だ。