【メキシコOP】ダニエル太郎―ルード

楽天オープンでは早々に敗退してしまったとは言え、キャスパー・ルードはATPランキングでも上位をしっかり確保して4位にいる選手。125位からなかなかジャンプアップできないダニエル太郎にとっては、難敵としか表現できない相手だった。ところが、ファーストセットを1ブレークダウンから2度のチャレンジを経て追いつくと、ダニエルが終盤に振り切って先行する。セカンドセットは返されたが、ファイナルセットは一進一退の攻防が続いた。

アカプルコセンターコートは試合開始時点では閑散としていたが、徐々に観客が増え続けた。ルードへの応援も少なくなかったが、ダニエルが持ち前のディフェンス能力を発揮してストローク戦を制するようになると、太郎ちゃんへの声援も一気に増えた。そのせいかルードはウルフ同様、ショートポイントで決めようとする意識が強くなり、プレーが雑になってしまった。要所でサービスエースを叩き込み、ドロップショットやダウン・ザ・ラインへの切り替えも効果的なダニエルの前に、ルードは本来の丁寧なプレーができなかった。

ルードの6-5でマッチポイントが2本あったものの、ダニエルがどうにか凌ぐ。それは本当に紙一重と言ってよいくらい微妙な攻防で、このゲームで終わっていてもおかしくなかった。それでも粘ってタイブレークに持ち込んだ太郎ちゃんは、最初のマッチポイントでストローク戦からルードのミスを誘い、コートにひざをついて勝利を嚙み締めた。30℃を超える環境でのフルセットマッチは、お互い消耗したことだろう。デミノーとの準々決勝に向けて時間は限られるが、まずはコンディションを戻して欲しいものだ。