【Elton John】Farewell from Dodger Stadium

Disney+で配信されているエルトン・ジョンの北米での最終ツアーは、LAのドジャースタジアムで収録されたもの。スタジアムを埋めるオーディエンスはまさに老若男女という感じで、多彩な雰囲気の人たちがエルトンの演奏に腕を振り上げ、シンガロングして盛り上がる。これぞライブというステージはアメリカ、それも西海岸ならではという印象を受けた。

さすがにエルトンも75歳なので、全21曲を歌い切るという意味ではかなり無理をしていたのだろう。しかし、一方でピアノの演奏に関しては衰えを感じさせない。もとよりテクニックをひけらかすようなソロを持っているわけではなかったので、相変わらずのフレーズの美しさを聴かせてくれたというところだろうか。特に「ロケットマン」でYAMAHAのピアノから紡ぎ出される音は実に美しく、特に高音のきらびやかな残響が耳に心地よい。

グラミー賞授賞式でも姿を見かけたブランディ・カーライルとのデュエットで「僕の瞳に小さな太陽(Don't Let the Sun Go down on Me)」を聴かせてくれたと思えば、僕のエルトン体験の原点でもある「恋のデュエット(Don't Go Breaking Mt Heart)」をキキ・ディーと生デュエット。75歳の同い年コンビの歌声は、信じられないくらいパワフルだった。この流れでは、直後に登場したデュア・リパはちょっと硬かったこともあって、霞んでしまった印象すらあった。「僕の歌は君の歌(Your Song)」と「黄昏のレンガ路(Goodbye Yellow Brick Road)」はキーを下げたせいかちょっと地味な雰囲気になってしまったのは残念ではあるが、パワーを振り絞った迫力あるステージになった。シンガロングするオーディエンスも実に楽しそうで、これがライブの素晴らしさなのだと実感することができた。