【フィギュア】グランプリファイナル

オリンピックイヤーの次のシーズンということでペアはかなり顔ぶれが変わっていたため、三浦/木原組にはチャンスだった。ただ、その格好の機会を受け止めるには日頃の練習が不可欠で、そのことは演技にはっきりと表れていた。スロージャンプやサイドバイサイドに乱れは出てしまったものの、リフトの進化には目を見張るものがある。あれだけの演技を見せてくれれば、スタンドのオーディエンスも「りくりゅう」に声援を送りたくもなるだろう。

男子シングルは、鍵山優真が欠場していながら日本勢が上位を占める。宇野の優勝に意外性はなかったが、山本草太が安定した演技で何度もガッツポーズを繰り返していたことが印象的だった。女子シングルは、演技を終わって満足気な表情を見せる選手が誰もいないという状況の中、無理のない演技でまとめた三原舞依が優勝。攻める演技が身上のロシア勢が不在ということもあって、フィギュア本来の美しさに回帰するきっかけになったかもしれない。それにしても坂本は、調子が上がらない。ウォームアップの表情を見ても、楽しそうな期待感のあるものではなく、辛そうに見えたことが気がかりだ。

テレビ朝日の放送は、日曜9:55開始という翌朝からの仕事を控えた視聴者にとっては辛い時間帯だったが、さらにCM攻勢と過去の振り返りで演技がどんどん後ろに遅れてゆく。CM収入に依存する地上波の宿命とはいえ、これでは視聴者にとってスポンサーは「悪」にしか映らない。完全に本質を見失っているような気がしてならないのだが…