【フィギュア】NHK杯 エキシビション

オリンピック直後のシーズンということもあってか、全体的にアピール要素が少ないプログラムだったように思うNHK杯の競技が終わった。「グランプリ」と銘打ってはいるものの、選手にとっての実態は各国選手権から世界選手権につながる本番に向けての前哨戦。まだ完成度も低く、見応えとしてはそれほど高いものでなかった。そして迎えたエキシビションで、選手は違う表情を見せてくれるのか。

結果的に見ると、競技の一部を抜き出したようなプログラムが多く、純粋に観客を楽しませてくれるものは少なかった。日本選手はエンターテイメント要素が伝統的に苦手だが、そんな中で昨季はサラリーマンの悲哀を演じて楽しませてくれた友野一希に期待していた。今季はヘビー系のギタリストだったが、もう少しメリハリのある楽曲を選んでいたらアピールできたのではないだろうか。FSがクラシックの指揮者だったこともあって、新鮮味がうすれてしまったことも残念だ。

アイスダンスの上位陣は、さすがの表現力。チョック/ベイツが怪しい絡みを見せれば、フルニエボードリー/ソーレンセン組も切れのよう動きで世界観を表現する。グリーン/パーソンズ組の操り人形も含め、見ていて満足感のあるプログラムだった。個人的に一番満足したのはアダム・シャオ・イム・ファのスターウォーズ。衣装から期待を高めてくれ、途中で投げ込まれたライトセーバーを振り回し、最後にはその色が赤から青に変わるという細部にもこだわった素晴らしい内容だった。

気になるのは、NHKの相変わらずな実況。さすがにかつての八木沼純子さんのようにエキシビションでジャンプの種類を必死にコールすることはなくなったが、見ていれば誰にでもわかりそうな情景を冗長な言葉で説明し、場の雰囲気を台無しにする。オリンピックの開会式や閉会式でもそうだが、テレビは映像が命なので、間が持たせる必要はないので無駄にしゃべらなければよい。選手を迎えて対談するコーナーでも、まったく話を引き出すことができず、髙橋成美さんの存在感だけが目立っていた印象だった。