【北欧ドラマ】8人の容疑者~誰がオット・ミュラーを撃ったのか~

サブタイトルの人名はドイツの画家オットー・ミュラーのことではなく、65歳の誕生日に自宅で開かれたパーティの後に射殺された富豪のこと。エストニア製作のドラマで、Viaplay経由でWOWOWが放送と配信を行ったものだ。全8話で、2人の刑事が1話ずつ8人の容疑者を聴取する展開だが、実はこの刑事たちも被害者と何らかの関係を持っていることが判明する。登場人物は被害者と8人の容疑者に2人の刑事というシンプルな構造で、舞台も被害者の邸宅と警察署が大半を占める「演劇空間」のような設定だった。

オチは想定の範囲を超えてはいなかったけれど、ひねりも利いていて十分に満足感のあるもの。最後に真犯人が独白する部分もいかにも演劇的で、そのまま芝居にできそうでもあり、その方がこの脚本としては面白いのではないかとさえ思った。役者も多彩で、年齢設定にかなり無理がある一部の俳優を除けば、質の高い演技を楽しませてくれた。エストニアだけに、いつも利用しているImdbにも4人の情報しかなかったが、さすがにEU圏ということだろうか。

見慣れないエストニアのドラマだけに、細かい設定も興味深い。登場人物がスポーツ経験者で国内大会で成績を残しているという設定なのだが、その競技がレスリング、陸上とバイアスロンなのだ。日本では自衛隊の選手がオリンピックで下位に甘んじる結果しか見ることがないバイアスロンだが、日本よりは競技は浸透しているのだろう。北京オリンピックの結果を見る限り、エストニアもさほど上位ではないのだが… また、エストニア語の音が日本語や韓国語のように聞こえる点が何度もあって、こちらも興味をそそられた。