【世界フィギュア】アイスダンスFD/男子シングルFS

12:30に開始されたアイスダンスから、シーズンベスト連発の充実した内容。さいたまスーパーアリーナのオーディエンスの歓声と拍手、手拍子に乗って選手自身も驚くようなパフォーマンスになり、スコアを知って最大限に喜びを表現していた。村元哉中/髙橋大輔は難関だった終盤のリフトを変更して、無難にまとめる方向にしたのは正解。残念ながら順位を上げられず、2枠獲得は逃してしまったが、悔いのない結果だったのではないだろうか。

最終グループ5組のレベルは非常に高く、素人目には甲乙つけがたい内容。ここでもシーズンベストが実現する中、ギニャール/ファブリがトップに立って初となる銀メダル以上を確定。そして最終滑走はチョック/ベイツだ。振り付けの随所に小技が効いていて、リフトも斬新。終盤にマディソンが尻もちをつく場面もあったが、要素には影響にない箇所で大きな減点には至らなかった。スコアも唯一90点オーバーとなり、余裕の世界選手権初制覇を果たした。インタビューで婚約に触れられた際の二人のちょっととまどったような笑顔も素敵だった。

男子シングルは、想定以上にミスが飛び出す。山本草太がミスを重ねながらも順位を上げる中、友野一希は2つ目の4回転で転倒したものの、得意のステップでオーディエンスを魅了して盛り上げる。プログラム・コンポーネンツ95.84は、全体の最高点だ。ジェイソン・ブラウンが指先まで計算し尽された芸術的な滑りを見せれば、復活途上のケヴィン・エイモズも本人が狂喜乱舞するくらいの結果を残した。一方、今季限りで引退するキーガン・メッシングには期待も高まっていたが、かなり足に来ていた模様で、4回転2本はなんとか成功させるも、直後のスピンに入ることができず無効になり、順位を下げてしまう。キス&クライでは、SPで見られなかった子供たちのスマホ画像が披露され、会場を大いに盛り上げていた。

かつてのチャ・ジュンファンはジャンプが得点源でつなぎの部分が課題だったが、そこに成長が見られ、この日のFSではプログラム・コンポーネンツもでも高い得点に。一方、イリヤ・マリニンは相変わらず4回転に頼る演技構成で、順位を下げてしまった。最後に登場した宇野昌磨は足の負傷が気になったが、それを感じさせない安定した演技。4Sは両足着氷となってGOEで減点されたが、負傷したのも4Sが原因なので、恐らく何かそこに問題があるのだろう。終わってみればFSだけでもジュンファンを上回り、合計ではSPの貯金で5点差をつけて堂々の金メダルだ。りくりゅう、坂本に続いて日本勢3つ目の金メダルは本当に素晴らしい結果だが、まだまだ伸びしろのありそうなので今後にも期待が高まる。