【ラグビーワールドカップ】アルゼンチン―イングランド

ラグビーワールドカップの3位決定戦の序盤は、圧倒的なイングランドペース。0-13とリードされたアルゼンチンボールのスクラムで、一気に押されたことであわててボールを出そうとしたアルゼンチンのNo.8がスクラムの中でノックオン。このプレーは、スクラムにおいてイングランドが優位であることを示し、アルゼンチンにとっては精神的にも尾を引くほどに屈辱的なプレーだった。

しかし、イングランドも思ったように得点を重ねることはできない。前半36分にアルゼンチンが起死回生のトライを挙げ、16-10というロースコアで前半を折り返す。そして後半立ち上がりの2分には、アルゼンチンのSOサンティアゴカレーラスが巧みにタックルを次々と凌いで中央にトライ。これで逆転した形になった。

イングランドは直後の4分、直前にヒーローの座にいたカレーラスのキックをHOダンがチャージ。自らボールを拾ってのトライで、再逆転に成功する。ここまできれいに決まるチャージは、あまり見たことがないくらいのプレーだった。

ただ、準決勝でもイングランドは選手交代で失速したところがあり、ここからの展開が盤石とは言い難い。6点差からアルゼンチンのPGで3点差になり、後半35分にノット・ロールアウェイでアルゼンチンがPGを獲得。角度のあるところだったこともある、これをキッカーのサンチェスが外してしまったことがアルゼンチンには痛かった。その後もアルゼンチンは執念を見せて激しいプレーで前進を試みるものの、イングランドの屈強な壁が立ちはだかり、このままノーサイドとなった。

どちらにも勝つチャンスはあったが、やはりイングランドの伝統が息づいていたということだろうか。アルゼンチンは80分通してプレーの質が一定ではなかったように見え、それがもったいなかった。