【ドラマ】クイックサンド

裕福な若者が暴走した結果、銃乱射事件を起こしてしまうというストーリーのドラマ。全般的な印象として、スウェーデンのドラマは上流階級を批判するような内容が多い気がする。ただ、単に金持ちのボンボンをディスるだけでなく、本作ではそんな若者を生み出してしまった「親の無関心」あるいは「放任」ということを描いている。親の無責任が、いかに社会に悪影響を与えるかということで、特に離婚カップルが多い社会では、教育はなかなか難しい問題だ。

タイトルにある「クイックサンド」は、ざっくり言えば「液状化現象」のこと。堅牢なはずの大地がもろくも崩れてゆくように、自分たちが築いてきたはずの名声や地位があっという間に失われてしまう。自分なりに理由はあったとしても、それは他人には受け容れられるものではない。薬物や精神疾患も絡めながら、現代病理ともいえる問題に向き合った作品だ。

あだ、エンターテイメントとして面白いかと言えば、かなり微妙な印象。特にセバスチャンの奇行を描写する部分は、いい加減にしろと言いたくなるようなもので、日本のドラマでもありそうな「金に飽かせた放蕩」なのだ。末路がハッピーではないので溜飲は下がるかもしれないが、かなりの時間にわたってこんな幼稚なふるまいを見せられると、どうしても辟易してしまう。「社会派」にこだわりすぎた結果ということなのだろうが、ちょっとやり過ぎた。