【ドラマ】レッドライン

ERでジョン・カーターを演じたノア・ワイリーを主演に迎えた社会派ドラマ「レッドライン~悲しみの向こうに(原題:The Red Line)」は、シカゴを舞台にしている。ドラマにもよく登場するが、シカゴの都心部を走る公共交通は高架鉄道で、タイトルになったThe Red Lineは治安のよくないサウスサイドに通じる路線だ。ゲイのパートナーを警察の誤認で射殺された主人公が養子とともに裁判に臨む姿は、Black Lives Matterの運動にも通じるくらい重要な社会問題だ。

しかし、このドラマは決定的に面白みに欠ける。ノア・ワイリーは好演しているのだが、それ以外の役者はどちらかというと華がなく、盛り上がりに欠ける。そして何よりもこのドラマの興味を削いでくれるのは、メッセージの生真面目さだ。ドラマは広い意味でエンタメであり、楽しむためにみられるものだ。もちろん、感動や共感という要素も「楽しみ」の一部なのだが、あまりに強くそこが求められるような演出を見せつけられると、「気持ちはわかるけど」という心境になってしまうのだ。

以前、僕はノースウェスト航空の奔放さというか、肩の力が抜けたサービスが好きだったのだが、デルタに統合されてからはすっかり生真面目な雰囲気になってしまったように感じた。このドラマから感じたのは、そんな窮屈で教科書的な筋書きなのだ。シーズン1で打ち切られてしまったのだが、それも納得できる印象だった。