【Disney+】私ときどきレッサーパンダ

さすがピクサーと感じさせたのは、いかにも実在しそうな中国系の人物が登場すること。こういう中国系の集団はおそらくどこにでもいるし、視聴者は身近な対象に置き換えることができるのではないだろうか。それはつまりリアルさが感じられるということで、本作のテーマでもある個性を受容するゴールがより近くなるはずだ。

遺伝的な要素で、ときどきレッサーパンダに変身してしまう13歳の少女が主人公。トロントを舞台に、この年代が学校でどんなことを話題にしてどんな風に過ごしているのかもよく伝わってくるし、中国系の家庭に限らず「親の期待」や「家の伝統」によって型にはめられてしまう様子がうかがえる。全編を通してコメディ要素が強く、シリアスなメッセージの部分でも笑ってしまうような構成。メッセージはとてもわかりやすいので、正しく理解してくれさえすれば若者の行動変容につながるかもしれない。ただ、表面的な理解で「親への反発」の理由付けになってしまう恐れもあるように思う。

あまり予備知識なく見たが、音楽にはフィニアス・オコネルが絡んでいる。英語版では声優としてサンドラ・オーがメイメイの母親を演じているようで、なかなかうまいキャスティングだ。チャイナタウンを中心に描いているため、一度訪れたことのあるトロントの街の実感はあまりなかったが、北米の都市にありそうな光景の連続に、思わず旅に出たくなってしまった。